それは風もなく穏やかな真夜中の出来事
空には半分のお月様
眠りに落ちかけていた布団の中で聞こえてきたもの
それは渡り鳥たちの声
何の鳥かはわからない
ぐわっぐわっと夜空に響かせ通り過ぎて行った
なぜ鳴くの
なぜ集団なの
どんな景色が見えているの
そんなことをぼんやり考えながら幸せな眠りにつく
朝目覚めてもその充足感は消えていなかった
モーレツに散歩したくなったので森に行く
落ち葉をザックザックと蹴りながらゆっくり進む
ドリトル先生なら渡り鳥の生態を詳しく知ってるんじゃないか
なんて思いながら
夜の番人のフクロウに会えたら何か教えてくれそうな気もした
でも会えなかった
カラフルな落ち葉を見ていたら、この世界に色んなカタチ
いろんな色を与えてくれてありがとうと思えてきた
山葡萄ジュースを作った残りかすで綿の布を染めてみた
洗った
どんどん色があせてしまった
それが自然の変化というものなのだろうか
とどまらない鳥たち
そのしなやかな筋肉で羽根で何処へでも行ける
おいしいご馳走と安全な場所を目指して
風に乗って磁場を感じて
バイクの旅人さんみたい
そして私たちは、渡り鳥の飛行ルートの下で寝起きし暮らせている
四季がちゃんとあるから
生物の多様性があるから
水も食べ物もふんだんにあるから
もうただそれだけでモーレツに幸せなんじゃないのか
と思えた晩秋の出来事でした
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